WEB講座-22は、「建築技術」2014年10月号 読者コーナーQ&Aで回答原稿を執筆した【完全スリットと部分スリットの力学的な違いについて】をご紹介します。
ご質問では、完全スリットと部分スリットの取り扱いが行政や評定機関などで異なるとされています。これらの構造スリットの取り扱いは、新築建物と耐震補強建物で異なります。本稿では、両建物での構造スリットの取り扱い、ならびに既往文献による耐震壁の実験結果について記述しました。
既往文献の実験によると、完全スリット付きの場合、適切なスリット幅を確保すれば、純ラーメン骨組に近い性状を示すことが確認されています。一方、この実験結果だけからは、部分スリット部の破壊メカニズムを解明されたとは言えないので、ご質問の「部分スリットの有効長さを施工長の80%とする」ことを証明できていません。すなわち、「施工長の80%とする」という仮定は、実験的知見に基づいたものでなく、工学的判断によるものと考えられます。
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「まえがき-「建築技術」 2014年10月号-Q&A」
「建築技術10月号 176-177」
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